**マウスピース矯正で“気づかないうちに”オープンバイトに…
セラミック修復と精密咬合調整で正常な噛み合わせを取り戻した症例**

近年、手軽さ・通いやすさを理由にマウスピース矯正(いわゆる“○○ライン”)を始める方が増えています。しかし実際の臨床では、適切な診断や管理が行われないまま矯正が進み、気づかないうちに“噛めない噛み合わせ=オープンバイト”になってしまう患者様が非常に多いのが現実です。
今回ご紹介する患者様もその一人でした。
■ 【初診】前歯が噛めていないのに、本人は気づいていない——。
患者様は「前歯の形をきれいにしたい」と来院されました。しかし精密検査を行うと、
- 上下の前歯が全く接触していない
- 奥歯だけで辛うじて噛んでいる
- セラミックが欠けている、歯が擦り減っている
- 噛むたびに歯に“捻じれる力”がかかっている
という典型的な オープンバイト咬合 が確認できました。
驚くことに、患者様自身には
「前歯で噛めていない自覚が全くなかった」 のです。
オープンバイトは痛みが出ないため、多くの方が気づかずに生活し、知らないうちに 歯を破壊し続けてしまいます。
■ マウスピース矯正で起こる“静かな崩壊”
マウスピース矯正はメリットも多い治療ですが、
歯を後ろ方向へ倒してしまいやすい という特性があります。
不適切に行われると、
- 前歯が接触しなくなる
- 奥歯に負担が集中する
- 歯が欠ける
- 近い将来、歯が割れて抜歯につながる
といった問題が、数ヶ月〜数年で一気に進行します。
実際、当院にも
「矯正したら噛みづらくなった」
「前歯だけが噛まない」
という相談は増え続けています。
■ 【治療】セラミック修復と精密咬合調整で“本来あるべき噛み合わせ”を再構築
当院では、ただ形を整えるのではなく、
顎の動きと噛み合わせを基準にした包括的な治療 を行います。
今回も以下のステップで噛み合わせの再構築を行いました。
- 咬合器による精密分析(顎の動きを再現)
- 適正な上下関係を決めるための咬合調整
- 弱くなっていた歯をセラミックで補強し、正しい高さに修正
- 前歯で正しく咬み切れる位置に誘導
- 顎関節への負担を軽減する微調整
結果として、
- 前歯がしっかり接触
- 奥歯の負担が分散
- 顎の動きが自然に
- 食事がしやすくなる
- 歯の欠け・摩耗がストップ
- “破壊の連鎖”が完全に停止
という大きな改善が得られました。
患者様からも
「何年ぶりかに“普通に噛める”感覚が戻った」
と喜んでいただけました。
■ 安易なマウスピース矯正は“歯を失う未来”に直結することがあります
最近の治療相談で最も多いのは、
マウスピース矯正後の噛み合わせのトラブル です。
特に、
- 前歯だけが噛まない
- 奥歯だけすり減る
- 顎が疲れる
- 食事がしにくい
- 歯が欠けやすい
といった症状は、
噛み合わせが破綻しかけているサイン です。
放置すると、
歯根破折 → 抜歯 → インプラントまたは入れ歯
という負のルートに直結します。
見た目だけを整えた矯正は「成功」ではありません。
“正しく噛めること”を守るのが本来の歯科医療です。
■ まとめ:噛み合わせは一生の財産です
今回の症例のように、
気づかないうちにオープンバイトが進行した方でも、
精密診断とセラミック修復・咬合調整によって
正常な噛み合わせを取り戻すことが可能です。
- 前歯が噛みにくい
- 最近歯が欠けた
- 奥歯ばかり疲れる
- マウスピース矯正後に違和感がある
そんな方は、一度ご相談ください。
噛み合わせの崩壊は待ってくれません。
早めの診断が、歯を守る最大の治療です。

