きちんと噛める義歯を作るために欠かせない「リマウント法」という調整
「入れ歯が当たって痛い」
「噛むとズレる」
「食事をすると疲れる」
こうした不満を抱えながら、「入れ歯ってこんなものだよね」と諦めている方は少なくありません。
しかし、それは義歯の限界ではなく、調整方法の問題であることがほとんどです。
その“噛めるか・噛めないか”を分ける重要な工程が、リマウント法による義歯調整です。

リマウント法とは何か?
リマウント法とは、完成した義歯をもう一度模型に戻し、咬合器(噛み合わせを再現する装置)上で精密に噛み合わせを調整する方法です。
口の中での調整だけでは、
- 唾液
- 舌の動き
- 患者さんの無意識な顎の逃げ
といった要素が入り、本当に正しい噛み合わせは見えません。
リマウント法ではこれらのノイズをすべて排除し、
純粋に「噛み合わせのズレ」だけを客観的に修正することができます。
結果として、
- 均等に噛める
- 痛みが出にくい
- 義歯が安定する
- 顎や筋肉が疲れにくい
「入れ歯なのに噛める」という状態に近づきます。
なぜ保険の義歯ではリマウント法ができないのか
理由はシンプルです。
時間とコストがまったく合わないからです。
リマウント法を行うには、
- 正確な噛み合わせの記録
- 模型の再装着
- 咬合器上での細かな調整
- 必要に応じた再調整
と、チェアタイムも技工士の作業時間も大幅に増えます。
しかし保険診療では、
- 決められた低い点数
- 限られた診療時間
- 工程を増やしても評価されない制度
という現実があります。
そのため保険の義歯はどうしても
「お口の中で削って、当たりを取って終わり」
という場当たり的な調整になりやすいのです。
「噛めない入れ歯」は年齢のせいではありません
リマウント法で調整された義歯は、
- 噛み合わせの力が分散され
- 特定の場所だけが痛くなることがなく
- 長時間使ってもズレにくい
つまり、設計と調整をきちんとすれば、入れ歯は噛めます。
「年だから仕方ない」
「入れ歯だから無理」
そう言われてきた方ほど、本当は一度、正しい工程で作られた義歯を体験してほしいと思っています。
噛める義歯には、噛める理由があります
リマウント法は派手な治療ではありません。
ですが、噛める義歯を作るための“最後の仕上げ”であり、最も重要な工程です。
当院では、
「入れ歯は噛めないもの」
という常識を前提にしません。
きちんと噛める義歯を目指すなら、工程を省かないこと。
その答えのひとつが、リマウント法なのです。
