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隣の歯に跨る大きな骨の欠損があった歯が、1歯の精密根管治療で5年後に完全再生した症例

― “抜歯しかない”と言われた歯が、自分の力で治った理由 ―

歯の根の先に膿が溜まり、レントゲンで大きな黒い影が写っている。
多くの患者さんはこの画像を見せられた瞬間に「もう抜歯しかないのですか?」と不安を感じます。
しかし、**精密根管治療(マイクロスコープ根管治療)**を丁寧に行えば、たとえ大きな骨の欠損があっても、歯を残せることがあります。
今回は、5年という長期経過を経て「完全な骨の再生」を確認できた実際の症例をもとに、
なぜこのような結果が得られたのかを、わかりやすくお伝えします。


① 抜歯を宣告された1本の歯

患者さんは40代の女性。
数年前に他院で神経を取る治療を受けたものの、半年ほどで違和感が再発。
痛みが続き、再治療を受けたにもかかわらず症状は改善せず、
最終的に「2本の歯の根の周囲の骨が溶けている。」と説明を受け、当院へ相談に来られました。

初診時のレントゲンでは、根の先端に直径10ミリ以上の大きな透過像(骨の欠損部分)が確認されました。
この場合、2本の歯の神経をとる処置を行うことが多くあります。
しかし、患者さんは「できることなら自分の歯や神経を残したい」と強く希望され、
私たちは顕微鏡を用いた精密根管治療での保存を提案しました。


② 骨が溶ける「本当の原因」は、根の中の見えない感染

根の先に膿が溜まる「根尖性歯周炎」は、
根の中に残った細菌が繁殖し、体がその感染を防御しようとして炎症を起こす病気です。
言い換えれば、感染のコントロールが正確にできれば、骨は自ら再生する可能性があります。

ところが、保険診療で行われる一般的な根管治療では、
肉眼での操作が中心となり、複雑な根の構造の奥深くに残る感染を完全に除去することが難しいのが現状です。
私たちは、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使い、根の内部を最大20倍に拡大して観察しながら治療を行います。
さらに、ラバーダム防湿によって唾液中の細菌を遮断し、
レーザー、EMAT,超音波洗浄などを組み合わせて、
根の中を徹底的に無菌化していきます。


③ 感染源を完全に取り除くための「見えない努力」

精密根管治療は、実際の診療時間以上に、
診療前後の分析と準備に多くの時間を要します。

レントゲン画像だけでなく、CTを撮影して三次元的に感染の範囲を把握
さらに、治療後には治療用模型に咬合を再現し、咬合力が病変部にかからないかまで検証します。

こうした見えない工程を一つひとつ積み重ねることで、
「治療を終えたその日」ではなく、「5年後も再発しない結果」へとつながります。


④ 治療から半年後、そして1年後の経過

治療後、痛みはすぐに消失。
半年後のレントゲンでは、溶けていた骨の周囲に白い再生線が現れはじめました。
これは、体が自ら骨を再構築しているサインです。
1年後には、黒く抜けていた部分の約70%が白く戻り、
再感染の兆候もなく、歯はしっかりと機能を取り戻していました。


⑤ 5年後に見られた「完全な骨再生」

そして5年後。
定期検診で撮影したレントゲンには、
以前の大きな黒い影は完全に消え、周囲の骨が自然な形で再生していました。
CT画像でも、欠損部位に均一な骨密度が確認され、
専門的に見ても「完全治癒」と呼べる状態でした。

患者さんは「抜歯しなくて本当によかった」と、笑顔でおっしゃっていました。
この結果は、私たちが特別な魔法を使ったからではありません。
根の中の感染を、丁寧に、正確に取り除いたことが、
体の自然な治癒力を最大限に引き出した結果です。


⑥ 骨は“人工的に作る”だけでなく“自然に戻る”こともある

歯科医療では骨再生と聞くと、人工骨や再生材料を使った外科処置を想像される方が多いかもしれません。
しかし、感染の原因さえ取り除ければ、
人間の骨には自ら回復する力があります。
顕微鏡下で根の中を無菌化することは、まさに「再生を妨げている要因を取り除く治療」です。

骨が治るのではなく、「骨が治る環境を整える」——
それが精密根管治療の本質です。


⑦ 再発を防ぐための精密な補綴(かぶせもの)

根管治療が成功しても、その上に装着するかぶせものの精度が低いと、
再び細菌が侵入して再感染が起こります。
当院では、根管治療後に顕微鏡下で形成を行い、歯と修復物の間の段差を極限までなくすことで、
長期的に再発を防いでいます。

また、咬合(噛み合わせ)の力学的バランスも重要です。
骨が再生した後も、強い咬合力が一点に集中すると再吸収が起こるため、
咬合器上で咬み合わせを精密に再現し、負荷が均等になるよう微調整を行いました。


⑧ 5年後も続く「安心」と「自分の歯で噛める喜び」

この患者さんは、現在も年に1回の定期検診で来院されています。
5年以上経過しても再発はなく、
ご自身の歯でしっかりと噛むことができています。

骨が再生することも大切ですが、
それ以上に大切なのは「時間が経っても安定していること」です。
そのためには、治療の精度と、
その後のメンテナンスの両立が欠かせません。


⑨ 精密根管治療で歯を残せる可能性が広がる

今回の症例は特別なケースではありません。
顕微鏡を使い、ラバーダム防湿のもとで確実に感染を除去できれば、
多くの歯に再生のチャンスが残されています。

「骨が溶けているから抜歯」ではなく、
なぜ骨が溶けたのかを見極め、根本から治すこと。
それが、私たちが目指す“歯を守る治療”です。


⑩ まとめ:抜歯宣告を受けた方へ

もしあなたが「もうこの歯は無理です」と言われたとしても、
それが本当に“治せない歯”とは限りません。
精密根管治療によって、
大きな骨の欠損が再生することは実際に起こり得るのです。

歯は、失ってからでは二度と戻りません。
しかし、正確な診断と丁寧な治療を受けることで、
あなたの体が本来持つ再生の力を取り戻すことができます。

私たちは、その「自然治癒力」を最大限に引き出す治療を、
一人ひとりの歯に対して全力で行っています。


菊川駅前歯科では、
マイクロスコープを用いた精密根管治療により、
これまでに多くの“抜歯しかない”とされた歯を保存してきました。
長期経過を見据え、歯と骨が安定するまで継続的にフォローアップを行います。

あなたの歯も、まだ残せるかもしれません。
まずは一度、ご相談ください。

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