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歯周組織再生療法

2024年11月21日

歯周病によって、失った骨にエムドゲン等を用い骨を再生する方法があります。

歯周病は生活習慣や持病、セルフケア習慣によって全体的に進行する病気です。そのため、全体的に歯周病を治した後に、それでも骨の再生が見込めない箇所に対して行われます。

最初のフェイズとして歯肉からの出血を全体の10%未満にできるようセルフケアと口の中のバイオフィルム除去を行います。

次の段階として歯肉の中の歯石を除去していきます。歯肉の中は暗く中々確認できないため、顕微鏡を使い確認と除去を繰り返します。中程度の歯周病であればこの段階で骨の再生が見込めます。

それでも器具が届かなかったり確認ができない箇所があるため、そこに対して歯周外科を行います。その時に必要であればエムドゲインを使用するという流れです。

 

歯周病治療は歯ではなく歯肉の血管が腐り、顎の骨が溶けて歯が抜ける病気です。重度にならないと自覚症状がないため気付くのが遅くなる病気になりますので、歯茎の出血や違和感は大事になっている事が多いですので早めの検査をお勧めします。

 

以下は、歯周組織再生療法(Periodontal Regenerative Therapy)についての詳細な解説です。この治療法は、歯周病により損傷を受けた歯周組織(歯肉、セメント質、歯槽骨、歯根膜)を再生させることを目的とした先進的な治療方法です。


1. 歯周組織再生療法とは

歯周組織再生療法は、歯周病や外傷により損傷を受けた歯周組織を修復し、健康な状態に戻すための治療法です。従来の治療では、損傷した組織を取り除き、進行を抑制する「非再生療法」が主流でしたが、再生療法は組織の修復と機能回復を目指します。

この治療法は、患者の口腔健康だけでなく、審美性や咬合機能の回復にも寄与し、歯の寿命を延ばすための重要な手段とされています。


2. 歯周組織再生の対象

2.1 歯周病による歯槽骨の吸収

歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨が破壊され、歯がぐらつき、最終的に抜歯が必要になる場合があります。この骨吸収が限定的で、再生可能な範囲であれば、再生療法が適用されます。

2.2 外傷による歯周組織の損傷

交通事故やスポーツ外傷などによって歯周組織が損傷した場合にも、再生療法を用いることが可能です。

2.3 インプラント周囲炎

インプラント周囲の骨吸収が見られる場合にも、再生療法が適用されることがあります。

2.4 根分岐部病変

歯根が複数ある歯(大臼歯など)の根分岐部に骨吸収が生じた場合も、再生療法が有効です。


3. 歯周組織再生療法の種類

歯周組織再生療法には、以下のような方法があります。それぞれの方法は、患者の症状や医師の診断によって選択されます。

3.1 ガイド組織再生療法(GTR: Guided Tissue Regeneration)

GTRは、歯周組織の再生を促進するために特殊な膜(バリアメンブレン)を使用する治療法です。この膜は、歯肉組織の侵入を防ぎ、歯根膜や歯槽骨が再生するための空間を確保します。

メリット

  • 精密に歯周組織を再生できる。
  • 再生可能な範囲が広い。

デメリット

  • 手術が必要。
  • 感染リスクがある。

3.2 エナメルマトリックスタンパク質製剤(Emdogain)を用いた治療

エナメルマトリックスタンパク質製剤は、歯胚の発生過程で重要な役割を果たすタンパク質を人工的に再現したもので、歯根膜やセメント質の再生を促します。

メリット

  • 天然のプロセスを模倣した治療。
  • 感染リスクが低い。
  • 審美性が高い。

デメリット

  • 重度の骨吸収には効果が限定的。

3.3 骨移植術

骨吸収が顕著な部位には、患者自身の骨(自家骨)や人工骨を移植することで、歯槽骨の再生を促進します。

メリット

  • 骨量の大幅な回復が期待できる。
  • 即効性がある。

デメリット

  • 外科手術が必要。
  • 合併症のリスクがある。

3.4 成長因子を用いた再生療法

成長因子(Platelet-Derived Growth Factor: PDGFやFibroblast Growth Factor: FGF)を含む製剤を使用して、細胞増殖や骨形成を促進します。

メリット

  • 再生速度が速い。
  • 審美性や機能性が高い。

デメリット

  • 高額な費用。
  • 効果が個人差による。

3.5 細胞療法

患者の体細胞を使用し、歯周組織の再生を促す治療法です。再生医療の一環として研究が進められています。


4. 歯周組織再生療法の流れ

4.1 診査・診断

  • 歯周病の進行状況、歯槽骨の吸収度合い、口腔全体の健康状態を評価します。
  • レントゲンやCTスキャンを使用して精密な診断を行います。

4.2 初期治療

再生療法を行う前に、歯周ポケットの清掃や歯石除去などの初期治療を行い、口腔環境を整えます。

4.3 手術

選択した治療法に基づき、再生療法を実施します。手術中には、感染を防ぐための徹底した無菌操作が求められます。

4.4 術後管理

手術後、患者は定期的な通院が必要です。口腔衛生状態の維持と、再生組織の安定を確認します。


5. 歯周組織再生療法のメリット

  1. 機能回復 損傷した歯周組織が再生することで、歯の支持力が回復します。
  2. 審美性の向上 歯槽骨や歯肉の形態が改善されるため、自然な見た目が得られます。
  3. 長期的な予後の向上 歯周病の再発リスクが低下し、歯の寿命が延びます。

6. 歯周組織再生療法のデメリット

  1. コストが高い 高度な技術や材料を使用するため、治療費用が高額になることがあります。
  2. 適応症例の制限 重度の歯周病では、再生が困難な場合があります。
  3. 感染リスク 手術を伴うため、感染や炎症のリスクがあります。

7. 予防の重要性

歯周組織再生療法を成功させるには、治療後の口腔衛生の維持が欠かせません。患者自身が日々のケアを徹底することが、治療効果の長期維持につながります。


8. 今後の展望

歯周組織再生療法は、再生医療やバイオテクノロジーの進化とともに、さらなる進歩が期待されています。例えば、幹細胞を利用した再生療法やナノテクノロジーを応用した新しい材料の開発が進行中です。


結論

歯周組織再生療法は、患者の口腔健康を回復し、歯の寿命を延ばすための革新的な治療法です。適切な診断と治療計画のもとで実施されることで、機能的かつ審美的な結果を得ることが可能です。ただし、患者自身のケアが治療成功の鍵であり、術後のメンテナンスを継続することが重要です。

 

 

 

歯肉を切らない歯周病治療(非外科治療)

2024年06月21日

衛生士の歯周基本治療後、レーザー、顕微鏡を使用し非外科にて歯周病治療を行いました10ミリ近くあった歯周ポケットも正常範囲の3ミリまで回復しました。

歯周病は顎の骨が溶ける病気のため、視覚的にも分かりづらく、なかなか自覚症状がでない病気です。このような棒がズブズブ入って出血していても痛くない場合がほとんどです。

実際、きちんと歯周病治療をするためには、歯肉の中の歯石を除去する必要があります。抗生剤やうがい薬だけでは治りません。超音波を闇雲に少し当てたぐらいでは歯石は取れません。頑丈に歯にこびりついています

この写真は歯周病が末期で抜歯に至った歯です。

このように、虫歯になっておらず、歯の頭が綺麗なままでも、歯石が根の先に定着し周囲の骨を溶かし切ってしまうと、歯を残すことが困難な場合があります。

ここまで、感染が起きているにも関わらず、体調が悪い時にだけ痛む程度だった、とおっしゃるレベルです。

なので、歯周病は自覚症状がないまま進み、歯のグラグラや痛みなどで気づいた時には手遅れになっていることが多い病気です。

 

長年、毎月、歯医者に30分ぐらい歯を洗いに行っていたのに歯周病になってましたという方が少なからずおられます。そのような問題は費用のクレームを回避するために検査やレントゲン撮影を行わなかったり、痛みのクレーム回避のため表面を洗っているだけであったり、時間の都合上、十分な衛生指導と行動変容を行えないなどの要因が重なって起こります。

歯周精密検査、細菌検査、細かなレントゲンやCT検査を行うことで初めてまともな歯周病の診断と治療計画が立てることができます。

 

Er:YAGレーザーとマイクロスコープを用いた歯周治療(歯肉を切らない歯周治療)

2022年09月13日

エルビウムヤグレーザーと顕微鏡を用いることにより、低侵襲(大掛かりな外科を要さない)治療が可能になります。

歯周初期治療を行い、歯周ポケットが約5ミリ以上残った箇所に対してアプローチを行います。

歯の根元に細菌が感染し顎の骨が溶けて歯が抜ける病気を歯周病と言います。

3ミリまでの歯と歯肉の溝であれば、ご自身の歯ブラシの毛先を適切に当てることにより歯周病を回避することができます。

しかし、5ミリ以上の溝が存在すると、歯ブラシの毛先が届かず、歯ブラシをどんなにしても歯医者に毎月行ったとしても進行を食い止めることはできません。そのため、歯周初期治療を行なった後、歯周ポケットが3ミリ程度に戻らなかった場合、レーザー等を用いた感染物質の除去と除菌を行います。

 

レーザー治療後、歯肉の腫れと膨れがなくなり、治癒を実感していただけました。

保険の処置ですと、歯茎を大きく開いて、ガリガリと歯石を取ることになりますので、ひと時の症状は改善するかもしれませんが、再発や歯の延命に関しては非常に疑問が残ります。

ですので、このような顕微鏡やレーザーを用いた低侵襲治療は歯の延命に非常に有効です。

レザー自体は小さなドットを打つように照射しますので顕微鏡下にて非常に丁寧に行う必要があります。適当に照射すれば効くようなものでもありません。

 

ケースによっては6ヶ月治癒の経過を観察し、必要であれば再生療法によるアプローチを行います。

 

 

 

歯は加齢と共に失う組織ではありません。適切な治療と予防管理を継続すれば生涯、歯を失うことはありません。義歯やブリッジ、インプラントの材料や技術がどんなに発達しようとも、まだまだ天然歯に勝るものはありません。

 

適切な予防処置、歯の延命のために、ラバーダム、顕微鏡等を使用し適正な時間を確保された治療、口腔の機能回復、審美性の改善を行う治療は自由診療となります。

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歯周外科にて歯を残す|東京/墨田区/江東区

2019年06月7日

ご自分の歯を残したいというご希望で来院されました。

虫歯によって歯の殆どが失われている状態でした。確かに、保険治療ではこの歯を残し機能させることが難しく殆どの場合、抜歯が適応されます。

そこで、歯の頭を出し被せ物を被せられる状態にする手術である歯周外科をご提案させていただきました。

 

歯の周りの組織を切除し、歯の高さを作ります。

手術と言っても、通常の歯科用麻酔を使用し、1時間程度の簡単な処置になります。術後の痛み等も殆どのケースでありません。

その後、根管治療を行い、手術によって作ることのできた歯をなるべく削らないよう土台を立てます。これはVertical preparationという形成方法になります。

通常の保険の金属冠や保険のCADCAM冠などでは材料の強度担保の必要性、限られた短時間で適切な装着を可能にする必要性、好ましくない条件での型取りと短時間での技工物製作を行う必要性、これらの事を可能にするために被せ物と土台の位置をはっきり明示する必要があり、必要以上に歯の根元を深く大量に削り込む必要があります。しかし、今回のような条件に不安があるような歯で、そのような事を行うと歯の強度を落としてしまい歯を残し機能させることが困難になってしまいます。

一方、Vertical preparationであれば歯の根元を削らずに、歯の強度を保つことができ、歯を残すことが可能になります。

しかしこの方法は、強度のあるセラミックであることと、強度があり歯肉に馴染みのよい型取りの材料を使用すること、形成後の仮歯の精度が非常に必要とされるため、コストと手間のかかる治療法になります。

そして、歯肉に接する部分まで、被せますので歯肉に異害性のないセラミック材料である必要があります。

当院では、すべてのケースにおいて、白い歯が最良とは考えていません。

白いセラミック材料が良い場合もありますし、ゴールドなどの金属材料の方が良い場合もあります。材料ありきのご提案ではなく、個々のお口の中の状況から必要とされる技術と患者様のご希望に応じてのご提案を行なっております。

歯周外科とセラミック治療を併用することで、抜歯かと思われた歯を何とか残すことができました。

どのような状態の歯でも残せる訳ではありませんが、安易に抜歯して簡単にインプラントを行う前に少しの手間をかけ歯を残せる場合があります。

 

 

before

after

 

 

治療費 ¥150,000

リスク 極端に硬いものを噛むと歯が割れる可能性があります。

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歯を残す治療の価値|東京/墨田区/江東区

2018年04月18日

虫歯で大きく根元まで崩壊してしまった歯を残すには多少の費用と治療期間がかかります。また、通常の治療歯よりも状態が悪い為、治療後も気をつけて使っていただかないといけません。

その為、早期に見切りをつけインプラントやブリッジにする選択肢もあります。

しかし、天然の歯でさえ一生持たせる事が出来ずに抜歯に至ってしまっているのに、人工物であるインプラントやブリッジが一生持つ保証はどこにもありません。特に一度行ったインプラントは簡単には撤去できず、他の歯の状態や自身のライフステージを考え戦略的に治療を行わなければ、将来、他の歯が抜歯になった場合に治療が複雑化するケースがあります。また、ブリッジは両隣の歯を削り失った歯の負担をさせるため、歯の寿命を短くする可能性もあります。であれば、自分の歯を少しでも長く持たせる事は、インプラントやブリッジになってしまう期間を遅らせ、残っている歯を延命させる非常に価値のある選択です。

 

虫歯を取り、根の消毒を行いました。しかし、このままでは被せ物を被せられる土台の高さが足りません。

歯周外科処置を行い被せ物が被せられる高さまで歯周組織コントロールします。

 

歯肉の治りを確認し、型取りを行います。

大きな虫歯で残せないと思われた歯もなんとか残す事ができました。

 

 

Before

after

 

治療内容 歯周外科

 

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虫歯が大きく抜歯が必要な歯を歯周外科処置により保存 歯周外科治療 Case1|東京/墨田区/江東区

2017年11月13日

 

虫歯を取ると殆ど歯が残っていませんでした。このままの状態では残っている歯の量が少なく被せものを被せる事が出来ません。このような場合、基本的には抜歯になってしまいます。そこで、歯肉と骨を歯周外科処置によって治療し歯を残す方法を提案をさせていただきました

歯肉切開、骨削合を行い、歯肉に埋もれている歯の頭を出します。

術後の治りを待って被せ物をかぶせます。
このように歯周外科処置を行うことで保存が困難な歯も残せる可能性があります。

 

治療費用・ ¥150,000

リスク・極端に硬いもの等を噛むと欠けるリスクがあります。

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