根管治療はなぜ時間がかかるのか?
根の中は「ヘドロ状の感染」です|短時間の治療で治らない本当の理由
「神経の治療をしたのに、また腫れた」
「根の治療をした歯がまた痛くなった」
「何度も根管治療を繰り返している」
このような経験をされた患者さんは決して少なくありません。
そして多くの方がこう思います。
「ちゃんと治療したはずなのに、なぜまた悪くなるのか?」
その理由は非常にシンプルです。
根の中の感染が取りきれていないからです。
そしてこの問題の本質は、
根管治療には本来、非常に長い時間が必要である
ということにあります。
実際の根の中は、患者さんが想像しているよりもはるかに複雑で、そしてはるかに汚れています。
今回は、歯科医療の現場から
- 根の中はどんな状態なのか
- なぜ治療に時間が必要なのか
- 短時間の根管治療がなぜ再発するのか
をわかりやすく解説します。
根の中は「ヘドロ状の感染物質」で満たされています
むし歯が神経まで進行すると、歯の内部は細菌に感染します。
その結果、歯の根の中では次のようなものが混ざり合います。
・壊死した神経
・細菌の塊
・細菌が出す毒素
・崩壊した歯の組織
・膿
これらが混ざり合うことで、根の中は
ドロドロとしたヘドロのような状態
になります。
患者さんはよく
「細い管を掃除するだけですよね?」
とおっしゃいます。
しかし実際には
細菌の巣になった空洞を掃除する作業
なのです。
しかもこの感染は非常にしつこく、簡単には取り除くことができません。
根の中は「迷路」のような構造をしています
さらに問題なのは歯の構造です。
多くの患者さんは
ストローのような一本の管
を想像されます。
しかし実際の歯の中はまったく違います。
根の内部には
・枝分かれした細い管
・横に広がる側枝
・無数の象牙細管
が存在しています。
つまり、歯の根の中は
非常に複雑な迷路構造
になっているのです。
そして感染は、この迷路の奥深くまで入り込んでいます。
そのため、表面だけ掃除しても
感染は必ず残ります。
裸眼やルーペでは感染は見えません
多くの歯科治療は
- 裸眼
- ルーペ(拡大鏡)
で行われています。
しかし根管治療では、これでは不十分です。
なぜなら、根の中は非常に小さく、
肉眼では感染がほとんど見えないからです。
歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)で拡大すると、
・壁にこびりついた感染物質
・取り残された神経
・細菌の塊
・黒く変色した感染象牙質
などが大量に残っていることがよくあります。
つまり、
見えていないから取れていない
という状況が起こっているのです。
感染は一つの器具では取れません
根管治療では感染を取り除くために、様々な器具を使います。
例えば
・歯科用顕微鏡
・超音波チップ
・レーザー
・エキスカベーター
・根管用ファイル
・薬液洗浄
などを組み合わせます。
感染除去は
削る
掻き出す
振動で落とす
薬液で溶かす
という方法を組み合わせながら、少しずつ減らしていく作業です。
一瞬で終わる治療ではありません。
非常に繊細で、集中力が必要な仕事です。
根管治療は「時間」がすべてです
ここで最も重要なポイントがあります。
根管治療は時間をかけなければ成功しません。
感染除去は
- 感染を見つける
- 器具で除去する
- 洗浄する
- 顕微鏡で確認する
この工程を何度も繰り返します。
感染は一度では取れません。
除去 → 洗浄 → 確認
これを何度も繰り返して、感染を減らしていきます。
初回の感染除去には2時間以上かかることもあります
本当に感染を取り除こうとすると、
初回の感染除去だけで2時間以上かかることも珍しくありません。
実際の治療では
- 90分
- 120分
程度の時間が必要になることも多いです。
これは
感染除去
洗浄
顕微鏡確認
を繰り返すためです。
短時間の治療では
見える部分の掃除だけ
になってしまいます。
ラバーダムをしていても時間が短ければ意味がありません
最近はラバーダムの重要性も知られるようになりました。
ラバーダムとは
治療する歯をゴムのシートで隔離し、唾液の細菌が入らないようにする方法
です。
根管治療では非常に重要です。
しかしここで大切なことがあります。
ラバーダムをしていても、時間が短ければ感染は残ります。
例えば
30分
45分
の治療では、感染を十分に取り除くことはできません。
つまり根管治療では
ラバーダム
顕微鏡
十分な治療時間
この3つがそろうことが非常に重要です。
日本の歯科医療では長時間治療が難しい
日本の保険診療では
- 治療時間
- 治療費
に大きな制限があります。
そのため
長時間の精密根管治療を行うことが難しい
という現実があります。
しかし本来、根管治療は
時間をかけて行う精密治療
です。
短時間の治療と、時間をかけた治療では
成功率が大きく変わります。
歯を残すために最も大切なこと
歯を長く残すために最も重要なのは
最初の根管治療で感染をできる限り取り除くこと
です。
最初の治療が不十分だと
- 再根管治療
- 歯根端切除
- 抜歯
につながることがあります。
だからこそ当院では
顕微鏡を使用し、十分な時間を確保した精密根管治療
を行っています。
派手な治療ではありませんが、
歯を守るために最も重要な治療
だと考えています。
根管治療でお悩みの方へ
- 根の治療を何度も繰り返している
- 歯ぐきが腫れる
- 噛むと痛い
- 根の先に膿があると言われた
このような症状がある場合、
根の中に感染が残っている可能性があります。
根管治療は
どこで治療を受けるかで結果が大きく変わる治療
でもあります。
もし歯の状態に不安がある方は
一度、精密な検査と診断を受けることをおすすめします。
当院では顕微鏡を用いた精密根管治療により
可能な限り歯を残すことを目指しています。
根管治療でお悩みの方は
ぜひ一度ご相談ください。