海外の歯科医師が「日本の歯医者はクレイジーだ」と言う本当の理由
― 治療時間・精度・そして滅菌の話 ―
海外の歯科医師と意見交換をすると、日本の歯科医療について驚かれることがよくあります。
中には、冗談ではなく真剣な表情で
「日本の歯医者はクレイジーだね」
と言われることもあります。
これは、日本の歯科医師の技術が低いという意味ではありません。
問題にされているのは、治療を取り巻く“仕組み”そのものです。
理由① 治療時間が短すぎることへの驚き
海外では、歯科治療は
1人60〜90分かけるのが一般的です。
検査・診断・治療・確認までを、1回のアポイントで丁寧に行います。
一方、日本の保険診療では
- 1回20〜30分
- 1日に何十人も診療
というスタイルが主流です。
海外の歯科医師から見ると、
「その時間で、本当に精密な治療ができているの?」
と感じるのは自然なことです。
歯の治療はミクロン単位の精度が求められる医療です。
短時間・流れ作業で行うこと自体が、海外ではほとんど考えられていません。
理由② “見えないまま治療する”ことへの違和感
海外では、
- マイクロスコープ
- 高倍率ルーペ
の使用はほぼ標準です。
ところが日本では、
裸眼、もしくは十分な拡大視野なしで治療が行われているケースも少なくありません。
海外の歯科医師はここで強い違和感を覚えます。
「見えない状態で削る・詰める・根の治療をするなんて信じられない」
これは、
暗い部屋で精密機械を組み立てるようなもの
だと例えられることもあります。
理由③ 滅菌・感染対策に対する考え方の差
そして、海外の歯科医師が特に深刻に受け止めるのが
滅菌・感染対策の違いです。
海外では、
- 器具は患者さんごとに完全滅菌
- 使い捨てできるものはディスポーザブル
- 滅菌工程の記録管理
これらは最低限の医療安全です。
一方、日本の歯科医院では
- 治療時間が短い
- 1日に診る人数が多い
という事情から、
「回転させること」が前提の仕組みになっている現場もあります。
海外の先生はここを見て、
「本当に完全な滅菌ができているの?」
と疑問を持ちます。
洗浄と滅菌は、まったく別物です
患者さんが特に知らない事実があります。
- 洗う
- 超音波洗浄にかける
これだけでは、滅菌ではありません。
滅菌とは、
細菌・ウイルス・芽胞まで完全に死滅させる工程を指します。
海外では
洗浄 → 個別包装 → 高圧蒸気滅菌 → 管理
までがセットで行われます。
しかし日本では、
医院ごとに滅菌レベルに大きな差があるのが現実です。
滅菌できない構造の器具が使われていることも
海外の歯科医師が特に驚くのが、
構造的に滅菌が難しい器具が日常的に使われている点です。
- 内部に水路がある
- 分解できない
- 内部まで蒸気が届かない
こうした器具は、海外では
「使い捨て」
もしくは
「専用の洗浄・滅菌システムが必須」
とされています。
それでも日本では、
コストや制度の問題から
十分とは言えない状態で使われているケースが存在します。
なぜ日本ではこうなるのか
滅菌には、
- 時間
- 人手
- 設備
- コスト
がかかります。
しかし、日本の保険制度では
どれだけ丁寧に滅菌しても評価されません。
その結果、
- 見えない部分
- 患者さんに直接伝わらない部分
が削られやすくなります。
海外の歯科医師から見ると、
「安全管理が医院の良心に委ねられている」
ように映るのです。
「クレイジー」と言われる本当の意味
海外の先生が言う
「日本の歯医者はクレイジー」
とは、
- 医師が怠慢
- 技術が低い
という意味ではありません。
厳しい条件の中で、無理をしながら医療を回している構造そのもの
への驚きなのです。
大切なのは、どんな環境で治療を受けるか
歯科治療は、
お口の中に傷を作る医療行為です。
だからこそ、
- どれだけ時間をかけているか
- どんな視野で治療しているか
- どんな滅菌体制か
は、治療結果に直結します。
当院では、
海外では当たり前とされている基準を大切にし、
時間・精度・滅菌のすべてを治療の土台として考えています。
見えない部分にこそ、
その医院の姿勢は表れます。