ダイレクトボンディングについて
2024年11月25日
ダイレクトボンディングにおいて保険のレジンの詰め物との違いは以下の手技が徹底されているかどうかが重要になります。
接着阻害因子であるプラークの染め出し
顕微鏡等による徹底的な虫歯除去
重合収縮に配慮した充填
これらを配慮して行うには90分から120分程度の治療時間が必要となります。
ダイレクトボンディングは、歯科治療におけるコンポジットレジン(樹脂)を使用した治療方法で、虫歯の治療や歯の形態修復、審美的な改善に広く利用されています。特に保険適用外の自費治療では、高品質の素材や高度な技術が提供されるため、患者にとって多くのメリットがあります。以下に、自費治療としてのダイレクトボンディングのメリットを詳しく解説します。
1. 自然な仕上がり
ダイレクトボンディングの最大の特徴は、見た目が非常に自然であることです。自費治療では、歯科医が高品質なコンポジットレジンを使用して、周囲の歯と色や質感を細かく調整します。このため、治療した歯が周囲の歯と調和し、どの部分が修復されたかほとんどわからない仕上がりになります。
さらに、歯科医の審美的な技術により、光沢や透明感も調整可能です。このような細部へのこだわりは、保険診療では一般的に提供されないレベルの品質を実現します。
2. 歯を削る量が少ない
ダイレクトボンディングはミニマルインターベンション(最小侵襲)を重視した治療法です。保険治療の銀歯やセラミックインレーなどに比べ、健康な歯質をほとんど削ることなく治療できます。
例えば、従来の銀歯やセラミックの詰め物では、詰め物を固定するために大きく削る必要がある場合がありますが、ダイレクトボンディングでは必要最低限の処置で済むため、天然の歯を最大限に残すことが可能です。これは、長期的な歯の健康を維持する上で大きな利点です。
3. 治療回数が少ない
自費診療のダイレクトボンディングは、即日での治療が可能です。歯科医がその場でレジンを成形し、光照射で硬化させるため、型取りや技工所への依頼が必要な被せ物の治療と比べて、治療回数を大幅に短縮できます。
これにより、患者は何度も通院する必要がなく、時間的な負担を軽減できます。忙しい社会人や家庭の事情で時間が限られている方にとって、大きなメリットです。
4. 汎用性が高い
ダイレクトボンディングは、以下のような様々な目的に対応可能な治療法です:
- 小さな虫歯の修復
- 欠けた歯の修復
- 前歯のすき間(ディアステマ)の改善
- 歯の形状を整える審美治療
- 色が変わった歯の修正
一つの治療法でこれだけ幅広い用途に対応できるため、患者のニーズに柔軟に応えることが可能です。特に審美性を重視する治療で、即効性を求める場合に優れています。
5. アレルギーのリスクが低い
保険診療で使用される金属(特に銀歯)は、金属アレルギーのリスクを伴います。一方、ダイレクトボンディングで使用されるコンポジットレジンは金属を含まず、生体親和性が高い素材です。そのため、金属アレルギーの心配がない点は、安全面でも大きな魅力といえます。
6. 修復が容易
ダイレクトボンディングは、万が一欠けたり、色が変化した場合でも比較的簡単に再修復できます。保険診療の銀歯やセラミッククラウンなどは修理が難しく、一度外して再作成が必要になる場合がありますが、ダイレクトボンディングの場合は、追加でレジンを付け足したり、色調を再調整するだけで対応可能です。
7. コストパフォーマンスの良さ
一見すると自費治療のダイレクトボンディングは高額に思えますが、長期的な視点で見るとコストパフォーマンスが良い場合があります。理由としては以下が挙げられます:
- 長期間使用できるため、頻繁な修理や再作成の必要が少ない
- 健康な歯質を多く残すことで、将来の治療リスクを軽減
- 審美性が高いため、追加のホワイトニングや矯正治療を避けられる場合がある
これにより、初期費用が高くても、将来的な治療費を抑える可能性があります。
8. カスタマイズ性が高い
自費治療では、患者一人ひとりの要望に応じて、色や形状を細かく調整できます。保険治療の場合、コストや時間の制約から細部の調整が制限されることが多いですが、自費治療では時間をかけてカウンセリングを行い、理想の仕上がりを追求することができます。
9. ストレスフリーな治療体験
自費治療のダイレクトボンディングでは、使用される器具や設備も最先端である場合が多く、治療の快適性が向上します。例えば、最新の接着技術や高性能な光硬化装置が導入されることで、治療中の不快感や違和感が最小限に抑えられます。
10. 審美歯科の入口として最適
ダイレクトボンディングは、コスト面や治療の手軽さから、審美歯科治療を初めて試みる方にとって良い選択肢となります。特に歯のホワイトニングやラミネートベニアと比較すると、手軽に見た目を改善できるため、審美治療の第一歩として選ばれることが多いです。
まとめ
自費診療としてのダイレクトボンディングは、審美性の向上や天然歯を守る点、治療のスピーディさといった多くのメリットを持ちます。特に、自然な見た目を重視しつつ、歯をできるだけ削らずに治療したいと考える方にとって非常に魅力的な選択肢です。治療費用は保険治療より高額になる場合がありますが、長期的な健康や審美性を考慮すると、多くの患者にとって満足度の高い結果が得られます。
歯周組織再生療法
2024年11月21日
歯周病によって、失った骨にエムドゲン等を用い骨を再生する方法があります。
歯周病は生活習慣や持病、セルフケア習慣によって全体的に進行する病気です。そのため、全体的に歯周病を治した後に、それでも骨の再生が見込めない箇所に対して行われます。
最初のフェイズとして歯肉からの出血を全体の10%未満にできるようセルフケアと口の中のバイオフィルム除去を行います。
次の段階として歯肉の中の歯石を除去していきます。歯肉の中は暗く中々確認できないため、顕微鏡を使い確認と除去を繰り返します。中程度の歯周病であればこの段階で骨の再生が見込めます。
それでも器具が届かなかったり確認ができない箇所があるため、そこに対して歯周外科を行います。その時に必要であればエムドゲインを使用するという流れです。
歯周病治療は歯ではなく歯肉の血管が腐り、顎の骨が溶けて歯が抜ける病気です。重度にならないと自覚症状がないため気付くのが遅くなる病気になりますので、歯茎の出血や違和感は大事になっている事が多いですので早めの検査をお勧めします。
以下は、歯周組織再生療法(Periodontal Regenerative Therapy)についての詳細な解説です。この治療法は、歯周病により損傷を受けた歯周組織(歯肉、セメント質、歯槽骨、歯根膜)を再生させることを目的とした先進的な治療方法です。
1. 歯周組織再生療法とは
歯周組織再生療法は、歯周病や外傷により損傷を受けた歯周組織を修復し、健康な状態に戻すための治療法です。従来の治療では、損傷した組織を取り除き、進行を抑制する「非再生療法」が主流でしたが、再生療法は組織の修復と機能回復を目指します。
この治療法は、患者の口腔健康だけでなく、審美性や咬合機能の回復にも寄与し、歯の寿命を延ばすための重要な手段とされています。
2. 歯周組織再生の対象
2.1 歯周病による歯槽骨の吸収
歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨が破壊され、歯がぐらつき、最終的に抜歯が必要になる場合があります。この骨吸収が限定的で、再生可能な範囲であれば、再生療法が適用されます。
2.2 外傷による歯周組織の損傷
交通事故やスポーツ外傷などによって歯周組織が損傷した場合にも、再生療法を用いることが可能です。
2.3 インプラント周囲炎
インプラント周囲の骨吸収が見られる場合にも、再生療法が適用されることがあります。
2.4 根分岐部病変
歯根が複数ある歯(大臼歯など)の根分岐部に骨吸収が生じた場合も、再生療法が有効です。
3. 歯周組織再生療法の種類
歯周組織再生療法には、以下のような方法があります。それぞれの方法は、患者の症状や医師の診断によって選択されます。
3.1 ガイド組織再生療法(GTR: Guided Tissue Regeneration)
GTRは、歯周組織の再生を促進するために特殊な膜(バリアメンブレン)を使用する治療法です。この膜は、歯肉組織の侵入を防ぎ、歯根膜や歯槽骨が再生するための空間を確保します。
メリット
- 精密に歯周組織を再生できる。
- 再生可能な範囲が広い。
デメリット
3.2 エナメルマトリックスタンパク質製剤(Emdogain)を用いた治療
エナメルマトリックスタンパク質製剤は、歯胚の発生過程で重要な役割を果たすタンパク質を人工的に再現したもので、歯根膜やセメント質の再生を促します。
メリット
- 天然のプロセスを模倣した治療。
- 感染リスクが低い。
- 審美性が高い。
デメリット
3.3 骨移植術
骨吸収が顕著な部位には、患者自身の骨(自家骨)や人工骨を移植することで、歯槽骨の再生を促進します。
メリット
デメリット
3.4 成長因子を用いた再生療法
成長因子(Platelet-Derived Growth Factor: PDGFやFibroblast Growth Factor: FGF)を含む製剤を使用して、細胞増殖や骨形成を促進します。
メリット
デメリット
3.5 細胞療法
患者の体細胞を使用し、歯周組織の再生を促す治療法です。再生医療の一環として研究が進められています。
4. 歯周組織再生療法の流れ
4.1 診査・診断
- 歯周病の進行状況、歯槽骨の吸収度合い、口腔全体の健康状態を評価します。
- レントゲンやCTスキャンを使用して精密な診断を行います。
4.2 初期治療
再生療法を行う前に、歯周ポケットの清掃や歯石除去などの初期治療を行い、口腔環境を整えます。
4.3 手術
選択した治療法に基づき、再生療法を実施します。手術中には、感染を防ぐための徹底した無菌操作が求められます。
4.4 術後管理
手術後、患者は定期的な通院が必要です。口腔衛生状態の維持と、再生組織の安定を確認します。
5. 歯周組織再生療法のメリット
- 機能回復 損傷した歯周組織が再生することで、歯の支持力が回復します。
- 審美性の向上 歯槽骨や歯肉の形態が改善されるため、自然な見た目が得られます。
- 長期的な予後の向上 歯周病の再発リスクが低下し、歯の寿命が延びます。
6. 歯周組織再生療法のデメリット
- コストが高い 高度な技術や材料を使用するため、治療費用が高額になることがあります。
- 適応症例の制限 重度の歯周病では、再生が困難な場合があります。
- 感染リスク 手術を伴うため、感染や炎症のリスクがあります。
7. 予防の重要性
歯周組織再生療法を成功させるには、治療後の口腔衛生の維持が欠かせません。患者自身が日々のケアを徹底することが、治療効果の長期維持につながります。
8. 今後の展望
歯周組織再生療法は、再生医療やバイオテクノロジーの進化とともに、さらなる進歩が期待されています。例えば、幹細胞を利用した再生療法やナノテクノロジーを応用した新しい材料の開発が進行中です。
結論
歯周組織再生療法は、患者の口腔健康を回復し、歯の寿命を延ばすための革新的な治療法です。適切な診断と治療計画のもとで実施されることで、機能的かつ審美的な結果を得ることが可能です。ただし、患者自身のケアが治療成功の鍵であり、術後のメンテナンスを継続することが重要です。
噛み合わせに配慮した治療計画とは
2024年11月19日
口の中というのはただ、覗き込んでいるだけでは1本の歯に穴が空いてるなどは分かりますが、その歯が全体の歯列の中で上下の歯とどのような関係性を持ち力学的負担を担っているか、また顎関節との調和が果たされているのかなどの全容を把握できないものです。それらを把握し対応しなければ、その歯は再び問題を起こす可能性を大きく孕んでいます。それに対応するため、咬合器に付着し診査、治療計画をたてます。
当院はPROTERevo9咬合器とSAM3咬合器を必要に応じて使い分け診断を行なっています。
矯正の必要性であったり、上下的な歯の形態の修正、問題の歯以外の噛み合わせ調整の必要性など、お口全体の健康寿命を延ばすためのご提案が可能となります。
もちろん、年齢であったり、ライフスタイル、顎骨の形態や、健康歯質の残っている量を総合的に判断して過剰な医療介入にならないよう慎重に計画がなされます。
歯は加齢と共に失う組織ではありません。適切な治療と予防管理を継続すれば生涯、歯を失うことはありません。義歯やブリッジ、インプラントの材料や技術がどんなに発達しようとも、まだまだ天然歯に勝るものはありません。
歯の健康を考慮し、最適な予防処置、歯の延命のために、ラバーダム、顕微鏡等を使用し適正な時間を確保された治療、口腔の機能回復、審美性の改善を行う治療は自由診療となります。
診療予約はこちらから※予約枠が埋まっていてもお電話いただければ対応できることもあります
電話でのご予約は 03-6659-2934
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菊川駅前歯科 Kobayashi dental office
東京都墨田区菊川2-6-14 1F
神経を残す治療とセラミックアンレー修復
2024年11月19日
神経まで達する虫歯がありました。術前の検査にて神経に達する虫歯の大きさは把握できていたため、ラバーダム防湿下にて虫歯を歯髄に押し込まぬよう慎重に除去していきました
MTAセメントを塗布することにより歯髄を保存したまま修復が可能になります。
特に症状もなく良好に経過しております。
健全なエナメル質を診断しアンレー形態を付与します
術前の咬合診断により、ダイレクトボンディングでは歯自体の剛性が担保できないと判断したため、セラミックにて覆う形を取りました。
セラミックアンレーをセットし治療は完了となります。
歯は加齢と共に失う組織ではありません。適切な治療と予防管理を継続すれば生涯、歯を失うことはありません。義歯やブリッジ、インプラントの材料や技術がどんなに発達しようとも、まだまだ天然歯に勝るものはありません。
歯の健康を考慮し、最適な予防処置、歯の延命のために、ラバーダム、顕微鏡等を使用し適正な時間を確保された治療、口腔の機能回復、審美性の改善を行う治療は自由診療となります。
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当院は全顎治療に対応しています。
2024年11月12日
虫歯や歯周病、歯の欠損によって口の中が崩壊すると全体的に歯を修復する必要があります。その場合、顎関節や上下の歯の接触を無視した治療を行うと、どこで噛んで良いかわからない、インプラントを入れたのに噛めない、被せ物を何十本も入れたら噛めない、などのトラブルが起こります。
検査によって顎の位置を把握し、そこから逆算して治療計画をたてます。顕微鏡による1本の歯の修復ももちろん大切ですが、ゴール(ちゃんと噛めて、健康を害さない)を設定することも非常に大事になります。
ミュータンス菌検査
2024年11月11日
当院では、精密検査の時にミュータンス菌検査を行います。このミュータンス菌は虫歯の元となる細菌です。この菌が過剰に増えると虫歯になりやすくなります。
生活習慣であったり、口の中の状態であったり、様々な要因でこの菌は増えます。
ですので、古い被せ物を全てやりかえた場合や、フッ素不使用の方がフッ素を使用した場合、間食を0にした場合、かなり減ります。これは治療後の再検査を行うと非常に実感するところです。
しかしながら、全てをやりかえる事が難しい場合や生活習慣改善において妥協できない部分があるかと思います。その場合はメンテナンス期間を6ヶ月のところを3ヶ月ごとにするなどの対応で虫歯の再発を大きく防止できるかと思います。
まずは検査を行い、完全な全顎治療を遂行するのが理想的ではありますが、現状を知り、実態に即して現実的な範囲に収めることも歯科治療において重要なことと考えております。
精密根管治療後の工程(歯根破折を防ぐために)
2024年11月6日
根の中の細菌を取り除く根管治療後において、、歯の破折とバクテリアの侵入を防ぐかが、いかに歯を長持ちさせることができるを考える上で非常に重要になります。
根の強度が担保されず、再感染を許してしまうと、上の写真のように歯の破折による抜歯が待っています。
そのため、支台築造を確実に行う必要があります。この治療においてもラバーダム防湿を行い、時間をかけ接着剤とレジンの重合を行う必要があります。結局、土台を立てる工程においてもラバーダム防湿下でなければ、再感染をおこしますので根管治療だけラバーダムを行なっても無意味になります。
この歯の歯の残り具合としてはかなりギリギリの状態ですので確実な接着を行い、土台を立てる必要があります。
ファイバーポストを設置し歯の破折を予防しています。
歯の治療は歯が悪くなった原因とその対応から始まり、一連の治療において歯の修復がなされるまで一つ一つを確実に行うことで、やっと歯の延命を行うことができます。
歯は加齢と共に失う組織ではありません。適切な治療と予防管理を継続すれば生涯、歯を失うことはありません。義歯やブリッジ、インプラントの材料や技術がどんなに発達しようとも、まだまだ天然歯に勝るものはありません。
歯の健康を考慮し、最適な予防処置、歯の延命のために、ラバーダム、顕微鏡等を使用し適正な時間を確保された治療、口腔の機能回復、審美性の改善を行う治療は自由診療となります。
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