仮歯からセラミックへ
2024年10月23日
全体的なセラミック修復を行う際はプロビジョナル(仮歯)の期間を十分にとる必要があります。
ある程度柔らかさがある仮歯の状態で取れる、沁みるなどの状態で、高強度の最終的な被せ物を行なってしまうと、セラミックが壊れる、痛みが出る歯自体が壊れるなどの症状に引き継がれます。そのため、仮歯の観察や調整を十分に取る必要があります。
顎関節の安定と仮歯の安定を確認した後は、得られた噛み合わせを壊さずに、少しづつ丁寧に最終補綴に置き換えていきます。そのため、不必要に全部一気にやることはまずありません。
歯科治療は全て手仕事であるのと、歯科材料は必ず膨張も収縮します。歯科治療は車のような工業製品を作る工場ではないため、必ず誤差が出ます。ですので、これらの誤差を将来問題が出ないよう、生体が十分に許容できる範囲に様々な配慮を行い収める必要があります。
近年は保険のCAD/CAM冠で歯を白くは出来ますが、そのような生体への配慮が全くできなくなっています。
デジタルのみによって完結されるのでブカブカの被せ物に、無理やり強度を持した接着剤が歯肉の中から取りきれず、感染を起こし骨が大きく溶けている。
技工ロボットが加工しやすいプラスチックですので、当然、すり減り易いです。その、すり減りによって噛み合わせが大きく変わって他の歯に問題が起こっている。
接着に時間が割けないため不十分な接着によって見た目では全くわからない再感染が起きやすくなっているなど、
今ほど削る量も少なく、接着剤の取り残しがあっても強度の弱いセメントで勝手に取れてくれ、噛み合わせの問題も何かあったら取れてくれる銀歯の時代と打って変わって、歯の寿命にさらに直結するような問題を拝見するようになってきました。
本来、金属材料と違ってレジン系材料を適正使うには顕微鏡や咬合器での診断、シリコン印象、ラバーダムを使わなければ上記の問題を解決することは困難であり、それらは保険の限られた時間では不可能なため、銀歯の時のように歯科医師側の良心で補うことが難しくなってきています。
当院でのカウンセリングを受けた方ならお分かりかと思いますが、明らかな問題を抱えていなければアマルガムや銀歯を全体的に見たときに治療計画上外す必要がなければ積極的に銀歯(パラジュウム合金)の除去の提案をしないことが多いです。
むしろ、CADCAM冠や保険のレジン充填の方が、レントゲンや視診で分かりづらいにも関わらず、致命的な問題を抱えている事の方が多いように思えるため除去のご提案をすることの方が多いです。
しかし、ながら技工士不足や金属の高騰を鑑みると、日本独自の保険のように大量の人間の大量の歯を用意するには、ロボットが1日中、勝手に加工しやすい低価格のプラスチックを削ってくれる必要があります。特に近年は模型も無いような状態で作られますので歯に適合しているかどうかも誰も分からない状態で口の中に入れられます。
そして、職人が手作業で良心で作られていた金属の時代に戻ることはないかと思います。
世界的には標準治療のセラミック修復やゴールド修復は強度の担保は十分に担保されており、技工士の調整が入っているため、きちんと型取りを行い、適切な時間をとり適切な手順を踏めば十分に生体が許容できる治療になります。そのため、仮歯による一定期間の観察と対応をきちんと行えば、長持ちする治療となります。
歯の修復は数本の修復であっても噛み合わせは大きく変わります。患者さん本人が気づかなくともそのツケは他の歯や歯茎、顎関節に移ります。
噛み合わせを考慮されてない保険の詰め物や被せ物で問題でないのは、生体がギリギリで許容していたり、他の歯にその負担が移っているだけかもしれません、しかし生体は剛体ではないため、記録も取ることもなく、その因果関係を証明することもできません。が立て続けに他の歯がダメになっていくご経験はありませんでしょうか?それを訴えても、ストレスや、歯ブラシ不足や歯軋りの一言で片付けられてませんか?その状態でインプラントを行なってもうまくいくでしょうか?
自由診療での治療とは、ただ歯科材料を人間の歯に埋め込むのではなく、個々のお口の中の状態に合わせ、生体に問題ない範囲に収めてお口の中の審美や機能、健康を提供する事だと考えております。
歯は加齢と共に失う組織ではありません。適切な治療と予防管理を継続すれば生涯、歯を失うことはありません。義歯やブリッジ、インプラントの材料や技術がどんなに発達しようとも、まだまだ天然歯に勝るものはありません。
歯の健康を考慮し、最適な予防処置、歯の延命のために、ラバーダム、顕微鏡等を使用し適正な時間を確保された治療、口腔の機能回復、審美性の改善を行う治療は自由診療となります。
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